2015年3月25日

第424巻 「埴輪」

第424巻 「埴輪」
伊達宗泰 著 1978年刊行

昭和の研究者の多くがそうであったように、著者もまた、戦地から復員し、虚脱状態の中から、研究世界に道を見出しようやく形を成した頃にこの本は書かれたようです。
古代への憧れと、少しばかりの怖れの気持ちを抱き、人は埴輪に惹かれてゆきます。


「日本最大の埴輪」ヒトの身長より高い2mもある高坏型の円筒は奈良県桜井市にある「メスリ古墳」から出土し、権力者の墳墓に遺体を囲むように供献具としてめぐらされていたそうです。


供献具としての埴輪はほかに、ドラム缶のような形や、壺もあり、いずれも被葬者の権力を後世のものが知る手がかりになろうとは、当時の人々がどこまで考えていたのか興味深いものがあります。


正装をした男子の埴輪は、歴史や美術の本で、見たことのある方も多いと思います。「埴輪」というと無表情な顔の代名詞のように言われますが、この本の写真をよく見ると、様々な顔だ立ちや表情があり、特に左ページの埴輪は、深みのある生きた表情に驚きを感じます。

関東の地域でもこのような埴輪が出土しています。男性に見えますが女性像で、しっかりとした顔と体に東国の女性がこの頃から力強く意志的な生き方をしていたのかもしれないと想像を巡らしてしまいます。







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