2014年7月21日

カラーブックス昔と今 ②「235 ふるさとの味-関東-」

カラーブックス昔と今② 「258 ふるさとの味-関東-」
旅の写真と詩情豊かな紀行文でお馴染み加藤蕙先生が、グルメガイドに挑んだ本書「おいしいものをだれかれとなくすすめ、よろこぶ顔をみるのがたのしみ」「いわゆる食通にはなれっこない」とみんなが好きそうなセレクトで関東の味を教えて下さいます。
今回はこの「ふるさとの味」の関東編に登場する神奈川県箱根湯本の「はつはな」蕎麦を訪ねてみました。


梅雨も後半に入り、市街地では紫陽花の見頃が過ぎた七月はじめ。ロマンスカー箱根湯本行きで出発です。車内は箱根に向かう人々で満席状態。
名物の車内販売では、この季節のスィーツ「湘南ゴールドゼリー」がお勧めということで、さっそく頂いてみました。
神奈川産の柑橘「湘南ゴールド」をふんだんに用いたババロアとゼリーが二層になっていて、この季節にピッタリの爽やかな味わいでした。
「朝の果物」という気分で元気が出たところで、いよいよ箱根湯本に到着です。

久しぶりに訪れた箱根湯本の街は、お菓子やお土産の新しいお店と、変わらない姿で続く老舗が混在し、温泉の街としての長い時の流れを感じることができます。


カラーブックス「182 こけし」でも触れられていますが、観光地のお土産店にかならずある「商業こけし」は小田原が発祥で、箱根のお土産として販売されるようになったのがはじまりだとか。そういった近代のこけしを専門に販売展示するお店がありました。
カラーブックスで紹介されているような可愛らしいこけしたちに会うことができます。「近代こけし  草源」http://3net.jp/3net2/mart/

湯本の駅前の通りの喧騒が落ち着いたあたりに、湯本橋が見えました。

この橋を渡ると道は奥湯本方面へ続いているのですが、カラーブックスではこの橋からながめる「はつはな蕎麦」を紹介しています。
昭和46年の風景と現在の風景はほとんど変わりがありません。


この通りは、恵比壽屋、萬壽福旅館など、古き時代からの温泉宿が当時の面影を守りつつそれぞれの形で続いており、レトロというよりそれ以前の時代の箱根を感じることのできる、大好きな場所です。





お腹も空いてきて、名物のお蕎麦を楽しみに、「はつはな」を訪れ、天ざるを注文しました。
このお店の名物は伝説にちなんだ自然薯そば。水を使わずそば粉と卵と自然薯を使ったあっさりとしてしなやかな食感のお蕎麦は、梅雨の開け切らないこの時期気持ち良く喉を通り、天ぷらも香ばしい香りのエビに大満足しました。



箱根では「はつはな」というネーミングが、様々なものに使われてれているのが以前から気になっていました。その由来を今回この「はつはな蕎麦」を訪れたことで、知ることができました。





箱根湯本には「はつはな伝説」という有名な逸話があり、歌舞伎「箱根霊験躄仇討」講談「箱根利生記」で人びとに知られました。
時代や内容には諸説ありますが、兄と父の仇討ちのため敵を探す勝五郎とはつはなという夫妻が困難な旅を続けるうち、勝五郎は病で歩行困難になってしまい、はつはなは車椅子を押して諸国を旅したそうです。
店内には浄瑠璃の義太夫節の語りが流れ、二階には二人の道中姿を写した人形が飾られています。


箱根にたどり着き、はつはなは夫の仇討ちの成功を祈って、毎日密かに滝行を行い祈願したそうです。
隠れた小屋での生活で食べ物にも事欠く中、機転を効かせて自生する自然薯を勝五郎に食べさせたとことろ、勝五郎の体調は快方へ向かいはじめました。
そしていよいよ敵の相手と遭遇し、返り討ちで傷ついた初花を守ろうという一念で、勝五郎は立ち上がることが出来るようになり、、みごと仇討ちを果たしたということです。
劇中のハイライト、はつはなの滝行から山中の仇討ちの舞台となる須雲川。
この上流の滝に打たれ、夫の回復を祈り、裏の山の中で自然薯を見つけたことを思うと、健気なはつはなの姿をこの景色に思わず追い求めてしまいます。




夫への無心の愛情と決して諦めない前向きさで、後の人々に「貞女」と呼ばれるはつはな、一途に武士道を貫こうとする無骨な勝五郎。
素敵な二人の姿に思いを馳せ、カラーブックスをきっかけとした旅で、このような感動に出会えた喜びに感謝しました。
皆様も大切な人と二人で「はつはな蕎麦」を訪れてみてください。




※写真は同行者が撮影いたしました。

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