2014年5月20日

第383巻 「万葉の花」

第383巻 「万葉の花」
中西 進著 19077年刊行

「自然と人間の区別を本質的には持っていなかった万葉びとは、四季の花々の推移にわが命の循環を感じ、開花や落花に心を投影した」
「花は人間に見られるために咲いている」という私たちの奢りと、花さえも消費しようとするあさましさを、この本と出会うことで正されました。
人を思い、死を悼み、困難の中で生きようとする古代人の傍に連れ添う花々を歌と共に辿って行きます。


「藤浪の花は盛りになりにけり平城の都をおもほすや君」大伴四綱
都から赴任してきた太宰府の人々は、藤の花が咲くと都を思い、藤に望郷の念を託しました。藤は都を表す高貴で優雅な花なのです。


「野辺見れば撫子の花咲きにけりわが待つ秋は近づくらしも」山上憶良
撫子は山上憶良のこの歌以降盛んに取り上げられるようになりましたが、それ以前には「万葉集には現れない」花、桔梗においては、「誰一人」歌っていない花だそうです。


「あしひきの山のつばき咲く八峯(やっそ)越え鹿(しし)待つ君のいはひ妻かも」
詠み人知らず
「万葉人は(つばきを)『つらつらつばき』という。花が点々と連なり咲くのを言うのであろう」「奥山に思わずつばきを発見することによって、いち早い春の到来を知ると言うのが彼らだったようだ。そんな情感の中に連なり咲くつばきを想像したい」






1 件のコメント:

  1. Twitterより
    @colorbooks_cafe
    カラーブックスには植物のタイトルが多いのですが、「またか」と思いつつ読んで行くと、必ず得るものがあります。

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