2014年4月18日

第12巻「国宝絵巻」

12「国宝絵巻」
奥平 英雄 1962年刊行

現在のように写真や動画がなく、文字を読める人の割合も少なかった時代に、歴史や世の中の出来事、仏の教えなど、様々な事柄を伝え、残すために描かれた絵巻物。後の世では高価な美術品として宝物になってしまったことを、当時の人々はしるよしもありません。



「因果経」は仏典「過去現在因果経」に絵を加えたもので、釈迦の出家から悟りまでを描いた奈良時代の絵巻物です。



地獄に落ちて様々の責め苦を受ける様を描き、見る人に恐怖を与えてほとけの道を教える地獄草子ですが、「こうした題材を描きながら不愉快な印象をあたえず、むしろすざまじい美をもってせまるものがあり、絵巻遺品ののうちでも傑作に属する」




「絵巻物」といえば、古来美しいものを表す代名詞でしたが、「飢餓草子」「病草子」「地獄草子」はあまりにグロテスクです。識字率が低い時代に人々に生きるための情報を伝える手段として印象を強く残すためにデフォルメが必要だったのでしょう。





「玄奨三蔵絵」はその名の通り唐の高僧三蔵法師の生涯を描いた傑作です。「絵は極彩色の実に精緻な大和絵の手法を用いており、しかも主題が他国の西域やインドを主としているので、人物風俗や山川草木の変化に気をくばり、つとめて異国情緒を出そうと苦心しているのがうかがわれる」






1 件のコメント:

  1. Twitterより
    @colorbooks_cafe
    美しくものから恐ろしいものまで、絵巻物は日本の大切な情報ツールだったのです。

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