2014年3月23日

第8巻 「 東海道昔と今」

第8巻 「 東海道昔と今」
徳力富吉郎 著 1962年刊行

「版画入門」「京都百景」の徳力富吉郎先生が安藤広重の「東海道五十三次」に描かれた風景を求め、昭和の東海道を旅しました。現在よりはまだ街道の面影が色濃く残っていたこのような時代に旅をして見たかったという思いを強く感じます。「そこには百年の星霜を経て、昔日の面影のないところもあろうし、また昔ながらの広重の歩いた東海道風景が見出されるかもしれない。まずはそろりそろりと参ろうと存ずる」

「版元 保育社」となっているところが面白いですね。書中のいたるところに登場するスケッチは、版画の力作あえて封印し、広重を立てる先生の心意気が伝わります。


文明開化以前の横浜は鄙びた漁師町だったそうです。描かれた、街道を行きかう人、宿場町に生きる人の姿は明治の文明開化がこの地域にいかに大きな変化をもたらしたかを伺い知ることができます。
 崎陽軒の「ひょーちゃん」のイラストが可愛い!



東海道の道中で一番の難所と言われた箱根。旧街道は現在人気の刊行スポットとなっていますが、底の薄い靴で歩くとでこぼことした石の感触が足に伝わってくるという事ですので、草鞋で歩いた時代の人々は苦労したかがしのばれます。小田原は現実とは距離感が全く違いますが、この地の地形をシンプルにまとめて解りやすい図になっています。





旅の終わりは京の都三条大橋です。江戸からの旅は現在の海外旅行にも匹敵する大旅行であったと思われます、また商用で訪れたひとも多かったことでしょう。「やっと京都へたどり着いた人々の気持ちは如何。道中数々のトラブル、楽しい思い出も苦しい事も夢と消えて京の宵」最後に一作だけ、徳力先生の作品をそっと忍ばせる、粋な編集です。








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