2014年3月4日

第365巻 「ぐいのみ」

 第365巻 「ぐいのみ」
辻 清明著 1976年刊行

昭和を代表する陶芸家の一人である著者辻先生は、父親が本格的骨董収集家であったため、幼少の頃から眼が鍛えられ、自身の趣味としてぐいのみを収集していました。陶芸家であり、目利きでもある人のコレクションはどれもこれも逸品で埋め尽くされています。「ただ酔いしれるためだけなら、欠け茶碗でも安コップでも用は足りますが、それでは殺伐すぎます。美酒の情趣は酒徒の心に沿う相手として良い酒器を求めるようになります」焼き物と骨董の美を、ぐいのみという小宇宙の中に見出し、旅することのできる趣味の良い一冊です。後文の最後に夫人で陶芸家の辻協さんとのやりとりが収録されていますが、個性的な二人の世界にも妙味があります。



無骨な斑唐津と格調高い柿右衛門。両者は対照的でありながら、焼き物としての価値は良い勝負と言ったところです。


「ぐいのみではもったいない!お茶碗だったら」と思うのは茶人の身勝手で、美酒を愛する向きには、貴重なお酒にふさわしくお酒に彩りを添えてくれるでしょう。茶懐石の「千鳥」という酒肴の作法があります。そのような時に
この「使うのがもったいない」ぐい飲みをお出しするのも亭主の心遣いを表せることでしょう。


右側は明かりを灯す「灯芯台」であったものを見たてで、ぐいのみにしたもののようです。スヌーピーのような可愛い犬です。透明感に優れた青磁は青空のように澄み渡った心持ちをお酒に託すことができます。


海外の焼物はどれも見たてであろうかと思われますが、洗練されたお洒落さは洋酒を楽しんでみたいです。





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